令和3年12月20日
千葉工業大学、変革センターを設立
既存の学術分野の枠組みを超えて、新しい知の創生を目指す
学校法人 千葉工業大学は、日本初のアンチディシプリナリー(脱専門性)研究施設となる、「変革センター(The Center for Radical Transformation: CRT)」を設立しました。科学技術の進歩をより良い社会づくりに活かすべく、世界中から多様な分野の研究者が参画します。センター長には、マサチューセッツ工科大学メディアラボの元所長である伊藤穰一が就任しました。伊藤穰一は2022年1月より本学の評議員にも就任します。
【 設立の背景 】
科学と技術の進歩によって社会は変化し続けていますが、私たちが望む未来を作っていくためには、こうした変化を法律、技術、経済、文化などの面から包括的に理解し、学術界、ビジネス界、政府、市民社会が協調して対応していく必要があります。しかし、世界のシステムは複雑化し細分化しており、こうした変化を説明するには、従来の枠組みでは十分ではなく、哲学、美学、文化の面からも望ましい社会を考えられる、新しい言語や学術領域が必要な時代が来ています。
変革センターでは、社会のあらゆる分野の研究者を集め、領域の垣根を越えて、これまでに無かった研究を行う事で、今起きている根本的な変化を通して、社会を良くしていくための新しい知である、技術的プラットフォームや文化的なアウトプットを想像・設計・構築する場となることを目指しています。
千葉工業大学は、世界文化に技術で貢献するという理念を掲げており、これまで未来ロボット技術研究センター、惑星探査研究センター、人工知能・ソフトウェア技術研究センターなど、新たなチャレンジを行うセンターを設立してきました。今回の変革センターも、新しい形で技術を世界文化に貢献させるための取組となります。
【 千葉工業大学 学長コメント 】
大学教育の重要な役割は新しい知を創造して社会に還元することですが、そのためには、工学に留まらず俯瞰的に未来の姿を考える力も必要です。マサチューセッツ工科大学のメディアラボで専門分野の壁を越える研究に取り組んできた伊藤氏や各界の研究者、そして、手を動かして物を作る力を持った学生が一緒になって、世界の未来をデザインしていく、既成概念にとらわれない新しい研究を進めてくれることを期待しています。
【 変革センター長コメント 】
日本が科学技術の進歩から恩恵を受け、社会的・政治的な変化に対応していくには、理系・文系という分類や、各界のサイロ化が妨げとなっています。こうした壁を打ち破るためには、脱専門的な研究所の立ち上げが重要です。型破りで画期的な研究センターの立ち上げに成功してきた千葉工業大学は、最適なプラットフォームになると考えました。ここで求められる理論や学問には、頭は雲の中にあっても、足はしっかり地についている「実践」と「実社会からのフィードバック」が欠かせません。この点においても手を動かすことを重視する千葉工大は適しています。
MITメディアラボでスタートした仕事を、新しいセンターで継続し、日本の社会や世界にポジティブな影響を与える仕事ができることをとても楽しみにしています。
当初は私を含め、メディア美学の専門家である武邑光裕さんなど5名の研究員でスタートします。この他、クリエイティブコモンズ提唱者でサイバー法学の専門家であるローレンス・レッシグさん、慶応大学教授の村井純さん、米連邦政府のデータおよび新興技術のラボxDの共同創設者であるケイト・マッコールカイリーさんなど、様々な分野から22名の専門家が客員研究員として参加してくれる予定です。
【 変革センター概要 】
設立年月日 2021年11月1日
センター長 伊藤穰一
研究分野
- 政府のデジタルトランスフォーメーション
- サイバー空間ガバナンス
- クリプトカレンシーとブロックチェーン
- メタバース/NFT
- ナレッジ・マネジメントと学術出版の将来
- フリーソフトウェア、オープンソースソフトウェア
- 確率コンピューティング
- Mathesar
- オープンソースソフトウェアのプログラマー能力開発
- サイバーセキュリティとプライバシー
- プライバシー強化のテクノロジー
- 確率コンピューティングと合成データ
- 学習
- ニューロ・ダイバーシティ
- オンライン学習とつながりの学習
研究員
研究員
- 武邑光裕 / 武邑塾塾長 メディア美学研究者武邑光裕
- テンジン・プリヤダルシ / MITダライラマセンターの社長兼CEO
- ボリス・アンソニー / REBUS財団共同創設者兼理事、デジタルメディア、デザイン、組織研究者
- 篠田 佳奈 (任用予定)/ 株式会社BLUE 代表取締役
客員研究員
- ベス・ノヴェック / ノースイースタン大学教授 ホワイトハウス元CTO補
- マネージング・ディレクタ マルガリータ・モラ / NIA TERO
- ブルース・シュナイアー / 暗号・情報セキュリティ研究者、「超監視社会」著者
- アリエル・エクブロー / CCI気候変動システム研究者
- ローレンス・レッシグ / 法学者 クリエイティブコモンズ提唱者
- 村井純 / 慶応大学教授
- ディレクターケイト・マッコールカイリー / 米連邦政府データラボxDの共同創設者兼 他 全22名
変革センターに関する詳しい情報は、以下をご覧ください。 https://henkaku.org/CIT
また、変革センターについて、ポッドキャスト「Joi Ito変革への道」で、松井学長とセンター長が対談しています。こちらもあわせてお聴きください。
〈変革センターについてのお問い合わせ〉
アシュトン・コンサルティング
福井・菊池
JIPR@ashton.jp
TEL: 050 3567 1833
〈 取材・大学広報関連についてのお問い合わせ〉
千葉工業大学 大橋・海老根
ohhashi.keiko@it-chiba.ac.jp
千葉工業大学 入試広報部
〒275-0016 千葉県習志野市津田沼 2-17-1 .
TEL:047-478-0222